当て字

 独逸*1とか巴里*2とか亜細亜*3とか、いわゆる当て字のたぐいというものが気になる。多くの当て字、特に国名のそれは「勃牙利*4」これ読めますか、というふうにクイズになるくらい分かりづらいし、「埃及*5」「希臘*6」「緬甸*7」あたりになってくるともうサッパリである。読みにくいばかりか、キリスト教国のフランスに「仏」を与えたりパンが主食のアメリカに「米」を譲ったりするあたりは、もう断然ミステイクと言わざるを得ない。しかるにこれらの呼称が新聞なりわりと公的なメディアにおいて公的に使用され、多くの人に通じてしまっているのが、なんだか滑稽でたのしい。当て字なんてものは漢字テストでわかんない問題が出たときにするようなもので、つまり個人的で独断的でいいかげんなもので、なのに公的に使用されているものが存在するという、当て字の微妙な立ち位置にはなんとなく惹かれる。

*1:ドイツ

*2:パリ

*3:アジア

*4:ブルガリア

*5:エジプト

*6:ギリシャ

*7:ビルマ