勉強用本など

 そして唐突に「消費生活」カテゴリを置いてみる。作品を受容して得た感想と同様、受容する作品を選択することにも意思が、したがって書く価値あるものが含まれている、と考えます。この文の「価値」とは価値なき価値で、……と自分のなかでも意味のはっきりしていない比喩表現を口にして読者をいたずらに惑わすのは考え物なのでたまには言い直すと、べつに僕の書いたものに価値が宿るとは思いません。まあ、お金を出して買ってもらうようなものではないと。ただそれとは別に、特定の自分(それは一般の人とは何らかの点で際立った自分〔と思いたいが……〕)を提示するということは自分に対して意味をもつ行為で、それを価値と呼んでいるのだろうと。まあいいか。
 ちなみにこれはかつての「購入」カテゴリと内実は同じです。カンバンが変わっただけです。買ったものを提示することに対して疚しさを覚えることも少なくないんだけど、その疚しさの中身はほとんどが“きちんと消費していない”ことから来るものだとも自覚している。まあ、自らの消費生活を見直し見守るきっかけにもなればいいかなーと思わないでもない。ま、気負わずに出せるときに出しとけー、ということで、気が向いたら書きます。なんでもかんでも公表するのは趣味じゃないし。
 というわけで……新宿のジュンク堂にて。夏休みに向けていろいろ買う:

W.H.マクニール, 訳:増田義郎佐々木昭夫『世界史』

世界史 上 (中公文庫 マ 10-3) 世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)
 受験終わった頃くらいから(……)世界史勉強しなおそうと思っていたんですが、そのへん考えているうちに(参考書だけでなく)一般書を読むのも意義あるなと気づいたので。受験参考書も分かりやすいのはやすいんだけど、やっぱりテストに出るところを云々するのに傾いちゃうよなあ。でも一般向けの世界史本も社会科学的な歴史とはあまり関係のないエピソードの提示に力を入れてたり、あんがい教科書的な記述で分量としても教科書とあまり変わらなかったり、といったものが少なくないというか大半という印象がある。一方で、自由に長々と詳しく書かれている本書はまあ、要するにとても面白そうだ。一人の人間によって記述された世界史というのにも興味がある。ちなみに、原著はやたら高価い。「世界で四十年余にわたって読みつづけられている」(裏表紙より)というんだからもっと安くてよさそうなものだが……。

中原道喜『新英文読解法』

新英文読解法: 本格的な読解力を確実に
 こちらは英語を勉強しようという思いは後からついてきた。書店の参考書コーナーをふらふらしていたら見つけた本、デザインからして古いものに見えるが初版が2003年だそうです。英文読解に対する何らかの方法論を示すのではなく、わりとシンプルな問題集に近い形をとっており、参考書の“仕掛け”としてはあまり目を引くものはないが、質のよい英文を読むことが読解力向上につながる、という筆者の説明に妙に説得されてしまったため、購入。ちなみに同著者の有名な『基礎英文問題精講』は読んでない。

『高校生のための批評入門』

高校生のための批評入門
 同シリーズの『高校生のための文章読本』が非常に良かったので、いずれ全部読んでおこう、ということで。批評ということにも興味あるしね。「文章読本」でも筒井康隆「バブリング創世記」や高橋源一郎「さようなら、ギャングたち」などの文章“読本”らしからぬ選定が印象的だったが、本作も文学者だけでなくチャップリン水木しげる山下洋輔といった幅広い選定、さらに普通なら同シリーズの「小説案内」のほうに収録されていそうな中上健次あたりが気になる。