趣味と少数派

「読書は嫌い」という人がいても、ふうん、と思うだけですが*1、「音楽は嫌い」という人がいたら、なんだか大問題なような気がする。人に向けて「俺、音楽嫌いなんだ」などと言った日には、憐れみと軽蔑のまざった眼差しを向けられる……気がする。
それほど音楽つうのはコミュニケーション・ツールとして強力、すなわち共通の趣味として強固なのだ……と言いかけましたが、しかし聴く音楽が多様化した今日には音楽の趣味が合う人がさほど居るようにも思えない。みんながみんなミスチル聴いてるわけでもないよな。じゃあなんだ、音楽に対する感性というのは万人共通で、音楽を良いと思えない奴は人間と思えない、とか、そういう思考回路が蔓延してる、ということか? 「みんなが何聴いてるかは知らないけど、とりあえず音楽を聴いていることは確かだろ」というような漠然とした意識が働いている? インターネットによって多くのマイノリティは仲間を見つけ、集団化することが出来たが、この場合はマイノリティに過ぎる(集団化してある程度の勢力をもつことが困難)ということか。あとこの性質が堂々と主張できない(ポジティヴな方向に持ってけない)ものである、というのも大きいよな。自虐にさえなり得ないのは、結局はマイノリティ故だと思う。受け入れる土壌の問題か。

*1:もちろん読書嫌いに対して軽蔑の眼差しを向ける人もいて、しかし「読書嫌いを軽蔑する人」自体がある程度軽蔑の対象になっているはず。