なんでもない

 見晴らしのいい人生だ。というのは TV から流れ出た車の CM が発するキャッチ=フレーズで、僕はそれをインプットされるままに眼前に現出すなわちキーボードをもって打ち込んでしまった、それだけなのでありますが、いや、もちろんそれだけでなく、上述のキャッチ=フレーズは僕の心を catch したゆえにこの、日記というまな板の上に載ることができた、と言うと些か傲慢にも聞こえてくるのでありますが、しかし日常を料理する僕らの営みを日記と言わずして何を言う? ということなのでありまして、傲慢というよりその立場を認識しなければならん。僕たちは日常の料理人なのです。と言ったところで雲行きが怪しくなってきたので、“車”という表現は不充分、“乗用車”にしても“自動車”にしても、われわれが「車」と称する最も一般的な四輪車を規定する力はもてず、周囲を電車・新幹線・自転車などなどの固有語で除外することにより消極的な主張を保っているのみなのだ、てか、でも考えてみれば「四輪車」でよくね? と言って、なに、これ、つまり、意識にのぼること悉く文章に盛り込もうとすると、もうそれは際限なく路は枝分かれし、思考の木を育てることになってしまうわけですが、でもこれは思考というより連想に近いのだ。