ネット文芸

 あー、そうかそうか。そうなのかどうかは知りませんが、僕がネット上に存在する小説・詩などの文芸的文章を読む気になれないのは脳内の「ネット上で文章を読むこと」の位置づけによるかもしれない。たぶん自分はネット上で読む文章――僕の場合ほとんどが日記――はポップス音楽のようなものだと考えていて、それは手軽でなければならない。そのときどきで読んで、忘れてしまうほうがいい(忘れるというのは表面的な状態で、読んだ経験が頭の奥底に染み込んで暗躍したりはするが)。そこへくると小説や詩というものはどうにも一対一の対峙、テーブル挟んでの二人きりの食事、自分の中へ土足で踏み込まれてくる感じがあって、なんかそれは(ポップスとして)違うなあ、という気がしてしまう、というのが一つあると思う。まあ損してますね。
 いや待てよ……偶然そういう文芸的文章に出くわしたときの心情を甦してみると、ネット上の文芸は概して拙いものが多い、とか、そういう偏見的意識があるような気がするなあ。最初から決めてかかっているので「まず読んでみる」というのが出来ない。ますます損してる感じが……んんー改心します。